2020-05-08
午後の西麻布…マスカレード・ポポ子こと西宮葵は
タピオカミルクティー屋の行列に辟易していた。
しかし昨今のトレンドを押さえる為に、西宮もまた、並んでいた。
その時だった、ビルの屋上から正午の太陽を背に何か黒い影が見えた。
「フゥハッハッハッ」
高らかな笑い声と共に怪人が現れた。
「我が名はタピオカスペルマティー怪人!
全国のタピオカミルクティーのミルクをスペルマに変えてやるのだ…!」
これには男性、女性達も流石に引いていた様子だった。
物陰に隠れてノース○ェイスのリュックから西宮は衣装を取り出す。
そう、何を隠そう、彼女は正義のヒロイン、マスカレード・ポポ子その人だった。
「やめなさい!怪人タピオカスペルマティー!」
女性達のミルクティーにスペルマを混入させていた怪人は
はっと後ろへ振り向く。
「おっおまえは!」
「私の名はマスカレードポポ子!
白昼のタピオカミルクティーにスペルマ混入はさせません!」
拳を強く握りしめ、ポポ子は戦闘態勢に入った。
密輸入した愛用のマカロフPMを足のホルスターから抜き、
怪人に向けて9mm弾を放った。
「バッばかな…この私が…負けるとは…」
そう言い残し、怪人は消失した。
西麻布の平穏は守られ、皆に笑顔が戻った。
「ありがとうポポ子!」
歓声が聞こえるが、タピオカミルクティー屋に戻れないポポ子は
涙を堪えながら店をあとにした。
「いつかは飲んで見せるわ…!」
街には静寂と行列の声と、マカロフの硝煙の匂いだけが残っていた。