2020-05-06
むかし働いていた飲食店が潰れたことがあった。
お世辞にもキレイな店とは言えず、魅力的な商品があるわけでもなく、値段も特段安いわけではなかった。すべてが中の下で、オーナーの意識だけが高い店だった。しかし、そんな店でも10数年は生きていた。
それが、まあ横領とか在庫の横流しとかいろいろあり潰れた。
別に好きな店だったわけではないが、今でもなにかできることがあったんじゃないかと思うことがある。なにかしてどうにかなるというものでもないが。
道端で死にかけの子猫を見たときの気分のような、なんとかすれば助かるかもしれないけど、助けたところで、という感じだ。
なにか。自分はいまデザインを生業にしているから、デザインのちからでなんとかできたのではと夢想する。むずかしい。
予算はなく、オーナーは口コミのみを信仰していて、広告宣伝を貶していた。汚らしい外装を汚いと思わず、頻繁に食品に蚊が混入している事実を見て見ぬ振りをしていた。
デザインでなんとかなる問題ではない。
それでもやはりなんとかできたのではと繰り返し考えてしまう。
男子中学生が午後の授業でまどろみながら、学校に侵入したテロリストとどう戦うかを考える感じで。